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MAKING A COMPANY LEGIBLE

AIに、会社を理解させる。

AIは賢くなりました。それでも、その会社の「粗利」がどこまでを指すのか、誰がいくらまで決めてよいのかは、外からは分かりません。会社の中にあって、どこにも書かれていないからです。私たちがまずやるのは、その書かれていないものを書き出すことです。

机の上で開かれた社内規程の冊子を斜め上から見た写真。右のページに小さな付箋が付いており、そのページ全体が白い枠で囲まれている。付箋の位置から引き出された計器のラベルに、言葉は粗利、定義は売上から仕入と外注費を引いたもの、別名は粗利益・GP・売上総利益、出所は経理規程 第3章、状態は人が確認済み、と並ぶ。左奥に他の資料が重ねて置かれている

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WHERE WE START

現場の判断から、逆に作る。

データを集めてから使い道を考える順番では、たいてい使われないまま終わります。私たちは逆から作ります。まず現場でいちばん重い判断を選び、その判断に必要な言葉だけを定義し、必要な範囲のデータだけを繋ぎます。

全社のデータ整備を先に終わらせる必要はありません。1つの判断が回りはじめてから、隣の判断へ広げます。

USUAL ORDERデータを集める整える使い道を考える使われないまま終わるOUR ORDERいちばん重い判断を選ぶその判断に要る言葉だけ決める要る範囲のデータだけ繋ぐその判断が回りはじめる
ORDER OF WORK

WHAT WE WRITE DOWN

会社の中身を、種類に分けて書く。

ひとつの見出しに全部を詰めると、後から探せなくなります。種類を分けておくと、AIが必要なものだけを引けます。

  1. 定義

    その会社で、その言葉が何を指すか。「粗利」「成果の1件」など、会社ごとに範囲が違うもの。

  2. 決まり

    守るべき規程やルール。やってよいことと、やってはいけないこと。

  3. 事実

    確定している事柄。どの資料が正で、どの形式で運用しているか。

  4. 固有名詞

    会社名・商品名・人名の正式表記。略してよいもの、略してはいけないもの。

  5. 指標

    数字の計算式と、どのデータから出すか。

  6. 手順

    どの順で進めるか。どこで人に返すか。

  7. システム

    どこに何があるか。どの画面が正で、どこは参照だけか。

  8. サービス

    提供しているサービスそのもの。何をどこまで含み、どこからは別扱いか。

  9. 体制

    誰が何を持っているか。決める人と、確認する人。

WHAT EACH ENTRY CARRIES

1件ずつに、出所と確認の状態が付く。

書いてあるだけでは足りません。誰がそう決めたのかを後から辿れないと、AIに任せる根拠になりません。

  1. 01

    定義

    その言葉が指す範囲を、一文で。

  2. 02

    別名

    現場での呼び方の揺れ。略称や旧称も含めて拾います。

  3. 03

    略称の可否

    略してよい名前と、略してはいけない名前。句点まで含めて正式表記を守ります。

  4. 04

    関係

    どの言葉の一部か、どれと関わるか。

  5. 05

    計算式

    指標なら、どう計算するか。何を足し、何は引かないか。

  6. 06

    出所

    どの資料・どの規程から来たか。ファイル名まで残します。

  7. 07

    確認の状態

    AIが下書きしたままか、人が確認済みか。

  8. 08

    更新日

    いつ時点のものか。

粗利定義定義売上から、仕入と外注費を引いたもの。社内の人件費は引かない。別名粗利益/GP/売上総利益関係案件に付く。請求から計算される。出所経理規程 第3章確認人が確認済みUPDATED 2026-07-26
ONE ENTRY — EXAMPLE

SEMANTIC WORKSPACE15

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Semantic Workspaceの一覧画面。粗利・CPA・ブロック率・在庫不一致などの言葉が並び、それぞれに定義、型付き関係の本数、管理元(経理規程や運用ルールなどの出所)、状態が表示されている

実際の画面です。表示しているデータはサンプルで、「粗利」「CPA」「在庫不一致」のような、会社ごとに揺れる言葉から先に決めます。 画面をタップすると、そのまま開けます。

RELATIONS

言葉は、単独では意味を持ちません。

「粗利」を一行で定義しても、それだけではAIは動きません。それが何に付くのか、何から計算されるのか、どの言い方が同じものを指すのか。つながりまで書いて、はじめて使える意味になります。

ですから私たちが作っているのは、用語集ではなく関係の網です。ひとつの言葉は、たいてい他の何本かと結ばれます。下は、それを会社ひとつ分だけ広げたところです。近い意味は近くに集まり、塊と塊は名前の付いた関係でつながります。

そして、この絡み合った形のままAIに渡します。文章で説明するのではなく、機械が読める構造として渡す。だからAIは、聞き直さずに正しいほうの意味を選べます。

架空の会社の言葉どうしの関係を表した図。顧客・案件・請求・商品と在庫という 4つのまとまりが濃く、その間も、発注する・請求になる・商品を含む・請求先といった 名前の付いた関係で結ばれている。手前に来たものには語の名前が表示される。

WHAT WE HAND THE AI

ONE CARD — OUT 3 / IN 1

{
  "card": {
    "term":       "粗利",
    "kind":       "metric",
    "definition": "売上から仕入と外注費を引いた額。社内の人件費は引かない。",
    "formula":    "売上 - 仕入 - 外注費",
    "aliases":    ["粗利益", "GP", "売上総利益"],
    "source":     "経理規程 第3章",
    "owner":      "経理",
    "verified_at": "2026-07-26T11:20:00+09:00"
  },
  "out": [
    { "rel": "part-of", "name": "案件",   "kind": "definition" },
    { "rel": "uses",    "name": "請求",   "kind": "definition" },
    { "rel": "uses",    "name": "外注費", "kind": "definition" }
  ],
  "in": [
    { "rel": "uses",    "name": "月次レポート", "kind": "process" }
  ]
}

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中身は架空の会社の例で、実在の企業の定義ではありません。ただし形と関係の名前は実物どおりです。out がこの言葉から出ている関係、in が他から入ってくる関係。関係の名前は自由文ではなく、決めた6語から選びます。書き手によって呼び方が変わると、AIが辿れなくなるからです。

HOW IT GETS BUILT

AIが下書きし、人が確定させる。

既にある資料・議事録・スプレッドシートから、AIが候補を拾って下書きします。ただし下書きのままでは使いません。人が画面で確認して初めて、確認済みになります。

追加の前には、同じ意味の項目がすでに無いかを別名まで含めて照合します。同じものが二重に登録されると、AIはどちらを信じるか決められなくなるからです。変更は誰がいつ行ったかまで記録に残ります。

SOURCES既にある資料議事録運用中の表AIが下書きDRAFT既存と照合別名まで見る同じものがあれば、足さずにまとめる人が確認CONFIRMEDAUDIT LOG誰が、いつ、何を変えたかを全て記録する
DRAFT → CHECK → CONFIRMED

WHAT WE LEAVE OUT

動くものは、地図に書きません。

登録するのは、確定していて、3ヶ月単位では変わらない構造と定義だけです。今月の予算や、昨日の受注件数のような動く数字は載せません。

地図に動くものを書くと、地図のほうが先に古くなります。動く数字は、そのつど元の場所から取りに行きます。

HOW THE LAYERS CONNECT

層が積み上がって、はじめて業務が回る。

いちばん下に、会社のデータがあります。その上に、その会社の言葉として意味を与える層を置きます。AIはその層を絶えず参照しながら、複数の業務を組み合わせて進めます。

やり取りは一方通行ではありません。データは材料として上がり、実行の結果と、そこで新しく分かった言葉は下へ戻ります。この往復が続くほど、意味の層は厚くなります。

私たちがお渡しするのは、この意味の層とAIの業務が乗る場そのものです。arksdelta. と呼んでいます。会計も広告も在庫も、いま使っているシステムはそのままにします。意味の層は、その上に重ねるものであって、置き換えるものではありません。

層の図。下が会社のデータ、その上が意味の層、その上でAIが業務を行う。 意味の層とAIの業務を囲んでいるのが arksdelta.。 データは材料として上がり、実行の結果と新しく分かった言葉は下へ戻る。

WHAT IT CHANGED

地図だけでも、検索だけでも足りません。

自社の実際の問い16問で試しました。測ったのは、答えるために必要な言葉が、AIに渡る材料の中に入っていた割合です。

何も渡さないと0%。地図だけを渡すと38%。全文検索だけだと50%。地図で当たりをつけてから検索する二段構えにすると75%になりました。外れた問いを見て、足りなかった項目を4つ足し、もう一度回すと100%でした。

16問という小さな試験であり、自社のデータでの結果です。それでも、地図と検索のどちらか片方では届かないことは、はっきりしました。(2026-07-26 実測)

何も渡さない0%地図だけ38%全文検索だけ50%地図で当たりをつけて検索75%外れた問いの項目を足して100%答えに要る言葉が、AIに渡る材料に入っていた割合
RETRIEVAL HIT RATE — 16 QUESTIONS — 2026-07-26

HOW IT STAYS TRUE

業務が変われば、地図も変わります。

書いた時点では正しくても、運用は変わります。出典の資料が書き換わっていないかを毎晩自動で照合し、ずれていれば知らせます。

答えられなかった問いは、そのまま不足の記録として残ります。それを見て項目を足すところまでを、ひとつの輪にしています。

CONTACT

会社で起きている業務を、AIが理解できる形にする。

まず1領域だけ、終わる状態を作ります。全社のデータ整備を先に終わらせる必要はありません。

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